Jazz FMのリチャード・サーリングが選曲した『A Cellarful of Motown』は、ヒット曲を量産したMotownレーベルの、60年代の作品から40曲をセレクト。うち39曲が未発表という実に驚きのコンピだ。当時発売されたのがジュニア・ウォーカー＆オールスターズの「Riding High on Love」だけというのが信じられない。それ以外の曲はモータウンの毎週開かれる『品質管理会議』の決定でお蔵入りになっていたというのだ。確かにポップス史上、Motownほど幅広くたくさんの名曲に恵まれたレーベルはない。今回の収録曲はオリジナルのマスターテープからリマスター。これまでノーザン・ソウル・ファンの間で出回っていた海賊版レコードは音質がひどかっただけに、Motownコレクター待望のコンピ・アルバムと言える。どの曲も素晴らしくベストトラックを選ぶのは至難の業だが、特に秀逸なのはバーバラ・マクネアのダンスチューン「Baby A-Go-Go」、アール・ヴァン・ダイクの陽気なインストナンバー「He Was Really Sayin' Something」、そしてここ数年ではノーザン・ソウル最高の発掘音源といえる、グラディス・ナイトの「If You Ever Get Your Hands On Love」だろう。ソウルミュージックにあまり縁のない人にもおすすめの、まさに必聴盤。（Chris King, Amazon.co.uk）