Slingshot Professionals
価格: ¥1,408
最初はスライド・ギターの腕前で注目を集めていたケリー・ジョー・フェルプスだが、1枚リリースするごとに音楽的な大きさを増してきている。かつてのさすらいのソロ・アーティスト、今はシンガー・ソングライターである彼は、きわめて豊かなアレンジを駆使して、プロデューサーのリー・タウンゼントが集めたきら星のようなサポート・ミュージシャンたちを迎えている。参加者は、ギタリストのビル・フリゼールとスティーヴ・ドーソン、ヴァイオリニストのジェス・ザボット、パーカッショニストのスコット・アメンドラ(チャーリー・ハンターとの仕事で知られる)、アコーディオン/キーボード奏者のクリス・ゲストリン、ベーシストのアンドリュー・ダウニングとキース・ロウ。本作の雰囲気は、フェルプスの同類といわれるアーティストたちと似通っているところがあり、ブルース・コックバーン(オープニング曲の「Jericho」)、マーク・ノップラー(「Window Grin」)、リチャード・トンプソン(「Not So Far to Go」)、さらに、そこはかとなくだがトム・ウェイツ(「Waiting for Marty」)までも連想させる。しかしフェルプスは、結局どこにも分類できないところに行き着く。ブルージーな力強さを持ったシンガーでありながら、今もって偉大なギタリストであるフェルプスの演奏は、抑え目な表現で楽曲を息づかせるものであって、リスナーをあおる安直な熱演とはひと味違うのだ。(Don McLeese, Amazon.com)