英国プログレッシヴ・ロック・バンドの1975年作品（邦題は『天井桟敷の吟遊詩人』）。トレードマークであるイアン・アンダーソンのフルートはもちろん、アコースティック・ギターやストリングスなど生楽器を加えることによって、ロックに留まることのない幅広い音楽性を実現させている。17分におよぶ叙事詩「ベイカー・ストリートの女神」にはブリティッシュの香りがたっぷり詰め込まれており、彼らの作品で一、二を争う味わい深さだ。『ジェラルドの汚れなき世界』『アクアラング』など名盤には事欠かない彼らだが、本作もそのひとつだと言える。（山崎智之）