この3作目のフル・アルバムには、新鮮味のないコラボレーションや凡庸な部分が少なからず見られる。結局、ジェイ・Zの『The Black Album』に太刀打ちできてはいない。とはいっても、「Understand Me Still」は、身内(兄)が危うく死にかけたこと、そして子どもが生まれたことに思いをめぐらすという成熟した内容で、興味を引かれる。ブリークのラップとリリックはMCとしてさほど突出したものではないが、ジャスト・ブレイズとケニー・ウェストのプロデュースを得たことで、非常に聴きごたえのあるアルバムになった。さらに、ロッカフェラ一派のメンバーたちが多数ゲスト参加したことにより、いっそう完成度が高まったと言えるだろう。
「Just Blaze, Bleek & Free」で芝居がかったパフォーマンスを披露するフリーウェイ、「Hood Muzik」でM.O.P.が見せる異常なまでの激しさ、70年代ソウル風の「Hypnotic」で圧倒的なラップを繰り広げるJiggaman。これらの面々の力添えによって、本作はブリークの現時点でのベスト・アルバムとなり、思いがけない喜びを与えてくれる作品となったのである。(Dalton Higgins, Amazon.com)