時代は昭和初期。主人公の新子は、真珠夫人の瑠璃子のように、自立心に富んだ才気ある女性です。菊池寛の大衆小説は、そういった女性の地位が低い時代背景にあるにもかかわらず、芯の強い女性を描いていて好感が持てます。もっとこの時期の菊池寛の作品を紹介して欲しい。ラストはこれからの新子を読者にゆだねるようです。