デトロイトで漆黒のハウス・ミュージックを量産し続けるケニー・ディクソン・ジュニアことムーディーマンの通算4枚目となるアルバム。ウルトラ・ヘヴィーなベースラインとドラムに、ソウル、ゴスペル、ジャズ、ファンクといった伝統的なブラック・ミュージックのエッセンスが、希有なセンスでミックスされるスタイルは不変。ハードなリズムに乗り、艶めかしい女性ヴォーカルのハミングとソウルフルな男性ヴォーカルの歌声、ピアノがからみあい踊る<4>、ドスのきいたドラムの向こうから幻のように立ち現れるエレピと、おなじみのノーマ・ジーン・ベルによるサックスが美しい<8>などは、彼のキャリアを代表する出来栄えだろう。全編ノンストップの構成もすばらしい、本物のブラックネスが満ち満ちた56分39秒。（山田次郎）