故郷が誇る「メッシーナ・スパルタンズ」の名クオーターバック、ニーリーが、2度と帰るつもりのなかったホームタウンに帰郷した。――スタジアムの照明がコーチの死を悼んで消され、愛憎錯綜するコーチへの思いとともに、15年間押し殺していた記憶がニーリーの脳裏によみがえる。かつて確実に手中にあったものの今はついえた栄光、そして永遠に失われた貴重な絆…。
コーチが亡くなる前の晩、ブリーチャーズ(競技場の、屋根のないスタンド席)に集った1985年のチームメンバーたちがかつての名試合のラジオ中継録音を聞くシーンのライブ感、そしてコーチの死を悼み、グリーンのユニフォームを身に着けた町じゅうの人びととかつての選手たちがスタジアムに集う、クライマックスのシーンは圧巻。グリシャム・ファンでなくとも必読の名作。