ベイビーフェイスの飛ぶ鳥を落とす勢いのチャートを圧巻する日々は終わったかも知れないが、それでも良いアルバムである。『Grown & Sexy』にR&Bの現象がひとつあるとすれば、それはセクシーになったと言う点だ。ベイビーフェイスはそれを最近のごまかしの多いやたらと身体を揺さぶってみせるどんなラブソング以上に、感情的に成熟し、満足いく歌で証明している。いかにもそれ風のサウンドでミッシー・エリオットの裏庭を探るよりも、ベイビーフェイスは彼自身のセロファンのようになめらかなスタイルを追い求め、立派に歌い上げている。「Mad, Sexy, Cool」でのレイヤーは好ましい夏向きの歌詞が渦巻き、洗練された瑞々しい「Can't Stop Now」となだれ込んでいく。「Sorry for the Stupid Things」は大人の関係の中で起こった間違いをミッドテンポのグルーヴで率直に謝るもの。「Good To Be in Love」は純粋でハンドクラッピングが巻き起こる祝福の歌で、「Gettin to Know U」は70年代のカーティス・メイフィールドのファンクな感覚を探ったもの。セクシーなだけでなく“成長した”ベイビーフェイスは実にホットであり続けている。（Tammy La Gorce, Amazon.com）