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コーヒーの水

価格: ¥468
カテゴリ: 単行本
ブランド: 紀伊國屋書店
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匂いたつようなクレオール物語 ★★★★★
『クレオール礼賛』の著者による生地マルティニックの‘循環する’年代記。
千里眼の荒ぶる女‘コーヒーの水’を中心に、逃亡奴隷のテミストークル、
商売人のシリア人ルネ=クーリなど、コクのある多彩な登場人物によって
織りなされる、カリブ海の「小さな場所」の物語である。

島の重く、悲しく、ばかばかしく、楽しく、逞しい生を「自分たちの流儀で」
生き語る「とるにたらない人々」の美しさ。
人々が生き生きと激しく語るクレオール語の独特のリズムもまた美しく、
これらがふんだんに用いられた会話の遣りとりが本書の白眉だろう。

また、魔術的リアリズムの手法が採られているが、奴隷制、人種混交と差別、
植民地プランテーション、アジア人クーリーの導入、ドゴール政権…
正史を問い直すもうひとつの歴史が濃密に織りこまれているのも見逃せない。

400ページを優に越す分量もさることながら、この『コーヒーの水』は、
文学の持つ力・可能性を圧倒的な迫力で示した恐るべき傑作である。

クレオールを理解するための恰好の小説 ★★★★☆
外部からクレオール文化のフレームを把握することはできるが、現地に住まう人たちのメンタリティとか世界観のようなものを理解するまでには至れない。よそ者の書いた研究書を読むのも勿論参考にはなるが、やはりネイティヴの知識人の書いた物語を読むのが彼らの皮膚感覚を体験するのにうってつけであろう。凡庸な例えで申し訳ないけれど、本書はマルケス的なマジックレアリズム小説である。狭小な空間(アンティル諸島)から紡ぎ出される豊穣で広がりのある物語世界からは、カリブ海の陽光と潮の香り、そしてなぜか経血の匂いが感じられた。