ノラ・ジョーンズを手がけたアリフ・マーディンが惚れ込んでプロデュースを担当しているだけあって、アレンジの完成度は高い。70年代テイストのアコースティックなサウンドと、ケリの心を込めたヴォーカルの何と心地よいことだろう。余計な音がないところが特にいい。ケリのヴォーカルはほとんど、ピアノの前に座って演奏しながらの状態で録音されたという。まさにシンガーソングライターの王道を行く出来ばえである。傷つきやすさも、素直さも、一途な恋愛感情も、すべてを等身大の率直さで歌いこんだこのアルバムは、おそらく若い女性のみならず、女性ヴォーカル・ファンの幅広い支持を得るだろう。(林田直樹)
※ 日本盤のみボーナス・トラック1曲収録。(13.ムーヴィング・トゥ・ダラス)