しんみり、ほのぼの。
★★★★☆
彼らが立たされている状況は苦境なのですが、
コメディタッチに描かれている部分も多いので、重くなく軽快に読める感じです。
元ヤクザという設定を描くには少々絵が可愛らしすぎるのと
さほどドロドロした人間関係や非情な暴力行為などの酷い描写は無く現実味も薄いため
ハードボイルドとは程遠い作品になっています。むしろ大きな感情の起伏も無く、
少ない登場人物のみの狭い世界観で、時の流れがゆったりとした印象のほっこり癒し系漫画です。(特に前半は。)
絵は好みが分かれそうですが雰囲気がありますし、
ちょっとした箸休め的なコマや背景まで緻密に丁寧に描かれています。
借金の取立てや元組員たちの鬼気迫る状況を描写していれば、
ほのぼのとしたシーンとのメリハリがもっと出たかと思いますが、
そうするとくどくなりがちですし、何よりヤクザというテーマ自体、
この絵柄と合っていないので そこはあまり掘り下げなくて正解だったかなと思います。
風雅な古い町家風の建物で「お茶やどの主人」というのはとても絵の雰囲気と合っています。
たまたま中国茶を趣味に持っているもので、なんだかニヤリとしてしまいました。
表紙にこっそり影だけで登場している律や、かわいくて切ない裏表紙も含め
視界の脇に入るちょっとした情景やアングルの見せ方のセンスが良いなと思います。
タイトルも雰囲気や取って付けた感じでなく きちんと話の中で意味を成していますし、
BL度はやや低めですが、絵もストーリー性も読み応えのある お薦め漫画です。
ただちょっと最後、律の扱われ方が不憫でなりませんが…後日談とか出ないかな?
合わなかったです
★★☆☆☆
表紙とコミック名とレビューに魅かれて購入してみましたが、単純に合わなかったです。
やくざをメインキャラの主なテーマに入れながらも現実味がなく、「僕らの世界」、「世間(あいつら)」、「普通の日常」、「孤独、依存」といった単語に中二的ニュアンスを感じてしまいます。
トラウマを軸に描かれていますが、どうもキャラクターの、なんと言うのでしょうか、なりきっている感じのせいで感情移入もしづらいです。
絵は綺麗で雰囲気も独特です。ただ、タイトルのメッセージを、全体を通して感じられたら素敵だったのにと思いました。
ポエムや詩的漫画が嫌いな人にはお勧めしません。
優しい人になれるお話
★★★★★
表紙が綺麗で購入しましたが、中身まで綺麗で優しいお話でした。
シンプルでありながら背景までしっかりと描かれていて、表紙だけでなく中身も丁寧に描かれています。表紙と中身との絵柄の差に、ということはないかと思います。
…肝心のお話ですが、シチュエーションや人物・関係・絵に萌えを感じるだけではないお話でした。なにかそれだけではない、大切なものを教えてくれるお話です。
エロ、は殆どありませんが、きゅんとするようなセクシーな雰囲気はあったりします(笑)
元ヤクザと、借金背負いが出会って、話して、心の内をたくさん躊躇しながらも伝えていって、ぶつかって、触れることに恐れて、でも互いにそれを望んで。
そんな焦れったい関係ながらも、ゆっくりとした時間のなかでたくさん心があたたかくなる言葉があります。また、二人以外の登場人物も本当に可愛らしいです。
噂だけを信じて勝手に恐ろしい人物像をつくりあげて人と触れるのを恐れる、そんな社会だからこそ、大切にしたいお話です。
可愛らしい
★★★★★
じれったいですね、天然でちょっとバカっぽいけど優しさに満ちあふれた人に、なんだか冷めていて淋しさをもち美しくそして優しさい人。可愛らしいです。出てくる皆がなぜだかとても可愛らしい…。
次回作にも期待したい作家さんです。
売れて欲しい作家さん。
★★★★★
私はBL小説の表紙イラストがえびしさんとの出会いでした。
何しろツボど真ん中な絵柄で…以外と表紙と中身に差があるマンガは多いですがモノクロ+セピアの雰囲気ある表紙に負けない素敵な内容でした。
個人的に蓮が『お宅』と諒一を呼ぶことにかなりときめく。エロは極薄ですがその方がこの作品には合っていてとても好感。
ヘタレで弱いところはあるけど芯は強くて心根の優しい諒一に救われていく蓮。出会うべくして出会った感じですね。私も蓮のお茶が飲みたい。
ラストは少し詰め込み気味な感じは否めませんが…特に透綺が物わかりが良すぎたかな?もうちょっとその辺を書いても良かった気がします。
でも何にせよ最近の中では一番の当たりでした。もっと知名度が上がることを期待します。
私は今後作家買い決定。