橘という男の圧倒的な存在感
★★★★★
橘以外の登場人物があまりにも魅力的だったために,主人公であるはずの
彼の存在感が今ひとつ薄かった気がしていた。それが,この最終巻では
圧倒的に読み手を引きつけてしまう。小早川やエイジが旅立ち,小野が
少しずつ過去の痛みを乗り越えていく一方で,吸引力を失ったかのように
橘は留まったままだ。だが,だからこそ,彼がこの物語の紛れもない
主人公なのだと痛感するラストシーン。繰り返し描かれる小野を手ひどく
振ったシーンも,巻を重ねる毎に橘の過去の謎を解く鍵として少しずつ
変化していくあたり,本当によくできている。最終巻まで君の魅力に
気づかなくてごめん,と橘に懺悔したい気分だ。エイジの作ったケーキでは
ないけれど,「癖があるが,一度付いた客は離れない」(この表現でいいのか?)
そんな橘に私は惚れた。
かなわぬ願いですが
★★★★★
9歳の橘を襲った誘拐事件、抜け落ちた当時の記憶と消えないトラウマ、現在頻発している誘拐事件、それにかかわるアンティークのケーキ・・・さまざまな物事が錯綜し、スリリングな様相を帯びる四巻。
シリーズ最終巻です。みなそれぞれ少しずつ変わります。孤児だったエイジ。「捨てられる」ことを恐れてきた彼は、敬愛する小野に認められることにより次にステップに進む自信と意欲を手に入れ、小野もそんなエイジを包み込む大きな包容力をいつしか身につけていました。千影も自立への一歩を踏み出した・・・はず。橘は・・・誘拐事件のトラウマを乗り越えることができたのでしょうか? それはここには書きませんが、一巻の冒頭、高校卒業時、彼が小野を手ひどく振ったシーンの本当の意味が二転三転しつつ明らかになります。橘は小野を傷つけたことをずっと気にかけていたのでした。橘の素顔が徐々に見えてくる、ある側面でこの物語は、彼という人間をめぐるミステリーだったようにも感じます。橘と小野のラスト近くのやりとりはおだやかできれいで、ああ、アンティークはこの二人から始まったのだったなあと、しみじみとした思いに誘われました。
かなわぬ願いですが、もっと読んでいたかったな。
橘スキー
★★★★★
1巻から読み進めるに従って、橘の外見だけでなく、内面も大好きになってしまいました。
こんな人どこかいないかなあ? また、真面目に考えている・・・・。
でも同人誌のアンティークの橘はもっと最高です。いろんな意味で。(あくまでBLFANの意見ですけど)
「その後のアンティーク」を読むためにも必ず本編は押さえとかないと、です。(あくまでBLFANの意見ですみません)
やみくもにケーキが食べたくなる、魔の書である
★★★★☆
よしながふみの看板作品といってよい。
看板に偽りなく、読めば特段甘党のワタシでなくてもケーキが食べたくなる。
何か違う作品を読んで、ほかになにか・・・と思っている方、一気に四巻買っちゃいなさい!
かくして私は、よしなが様の寡作を嘆くことになっているのだから。
ただし、この話、全然完結していない!!!
続きを読ませろ!と切に思うのだ。
だから、星一個、減!!
少女漫画は24年組以来のヲヤジ
★★★★☆
少女漫画は24年組以来のヲヤジだけど、愉しませて貰いました。
最近は「百鬼夜行抄」と言い、本当に女性作家の中に劇画の手法が
ちゃんと定着しているって思ったんだけど、アタリかな?