管理魔的なところとだらしなさが入り混じったヤングの特異な性分のために、『Greendale』は荒削りな仕上がりとなった――コンセプト・アルバムというものは過剰に練り上げられているのが常なのだが。クレイジー・ホースは彼らならではの気恥ずかしいまでの無邪気さと戯れている。クレイジー・ホースとヤングが飾り気のないスピリットを吹き込んだ「Devil's Sidewalk」や、美しくもとりとめのない「Carmichael」を聴いていると、彼らの気ままさをおおむね許してしまえる。超常的といっていいほどひどい「Be the Rain」にも救いはあって、ヤングがメガホンを通したかのような抑揚のない叫びをあげ、決まり文句を並べたてる自分の妻の歌声をさえぎるのだ。また、ハッキリしたかたちではないが、ヤングは年齢についてのきわめて個人的な感慨を一見客観的なドラマの中に忍ばせている――とりわけ、心のこもった曲「Bandit」の中に。(これは、ルー・リード――ヤングとは無縁そうでいながら同じ道を歩んでいるアーティスト――が過小評価されたアルバム『The Raven』で用いた手法に非常に近い。)この妙技をまずはお聴きあれ。これは、ここ数年でもっとも魅力的なニール・ヤングのアルバムである。(John Mulvey, Amazon.co.uk)