切なげなアコースティック・ギターからスタートするこの曲は、全編にスパニッシュ・ミュージックの香りを振りまきながら、どこか陰うつなバイブレーションを描き出す。バック・トラックの雰囲気にリンクしたリリックは、すれ違いを繰り返す恋人たちの悲しい運命をつづっていて、こちらもかなり悲しげ。
「どこ行くの / 僕達の理想郷は見えているのに / どうして違う路を進むのか」というフレーズを刻む池森の声には、聴く人の感情を揺るがせる強さがあって、シンガーとしての成熟ぶりを感じさせてくれる。大人のためのロスト・ラブ・ソングだ。(森 朋之)