バードランドの子守唄+2
価格: ¥1,575
スタン・ケントン楽団出身の女性歌手といえば、ジューン・クリスティ、アニタ・オデイ、クリス・コナーの3人が有名。共通しているのは、みんなハスキー・ヴォイスの持ち主だという点。53年にケントン楽団から独立したクリスはベツレヘム・レコードから発表したアルバムが好評を博し、ソロ歌手としてたちまち人気者になった。同レーベルからは3枚のアルバムを発表したが、一番最初の作品がこれ。
当時のクリスは20代半ばで、その歌声は楚々としていて初々しい。タイトル曲はジョージ・シアリングがジャズ・クラブ「バードランド」をテーマに作曲したナンバーだが、この曲に聴かれる小粋なスウィング感は何とも言えない味わい。エリス・ラーキンスのピアノ・トリオ、ヴィニー・バークのコンボ、サイ・オリヴァー・オーケストラと3種類の編成をバックに歌っていて、それぞれのフォーマットにふさわしい歌い方も聴きごたえがある。クリス・コナーを聴くならまず本作から。本人にとってもファンにとっても忘れられない出世作である。(市川正二)