もちろん、そういったアプローチは彼らが初めて行ったものではない。世の中がもっとのんびりしていた時代には、ムード・オーケストラが情緒たっぷりなやり方でさかんに名曲をリニューアルしていた。また、近い例では「クラシック界のスパイス・ガールズ」というあだ名を頂戴した女性ばかりの弦楽四重奏団「ボンド」がこの伝統にバンド的なフィーリングを持ち込んでいる(ちなみに「ザ・プラネッツ」のプロデューサーは、「ボンド」を手がけたマイク・バットである)。
「ザ・プラネッツ」の場合、ヴァイオリンやフルートなどのアコースティックな弦楽器、管楽器にエレキ・ギターとパーカッションが加わっているため、サウンドはよりロック寄り。また、ジプシー音楽やケルト音楽といったワールド・ミュージック的な要素もスパイスに使っている。ドラムスの入った「カルメン・カプリス」でヴァイオリンとエレキ・ギターが対等に張り合う場面あたりでは、このグループならではの持ち味がうまくいかされている。(松本泰樹)