けれどもライムにおいては、「December 4th」といったトラックで少年時代の苦闘をさらけだし、「What More Can I Say」と痛烈な「Threat」で敵対者をこき下ろしているものの、鋭い切れや深い洞察がめったにみられない。一方、長年の盟友であるジャスト・ブレイズとカニエ・ウェストは第一級のプロダクションを次から次へと繰り出している。とくにブレイズはすばらしく、「December 4th」「Public Service Announcement」のビートは本作でも最高のできだ。新人のアクアとブキャナンズもいい仕事をしているが、エミネムの手がけたマイナーコードの「Moment of Clarity」は月並みに終わっている。
本作のリリース後ジェイは闇に姿を消してしまうのかもしれないが、このラストアルバムは決して失敗作ではない。(Oliver Wang, Amazon.com)