まさしく隠れた名作
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一昨年前アメリカで大ヒットし、日本にも紹介されたTVシリーズ“ヒーローズ”を見た時しきりに思い出されたのがこの作品でした。 悲劇色がかなり強いため、連載当時、子供たちからの支持はえられなかったようですが、手塚先生のストーリーテラーとしての才能が遺憾なく発揮された、まさに隠れた名作と呼んでいい作品だと思います。 この作品をきちんと今でも出版し続けている秋田書店の姿勢には頭が下がりますね。
念力、超俊足、自己再生能力、分身―などなど、ありとあらゆる能力を持った若者たちが残虐宇宙人ゲルダン人の侵略から月を守るためにノーマン王子のもとに集められます。 中には動物を操る能力だとか、銃弾の軌道を変える能力の持ち主なんていう変り種も登場します。“俺の得意の後ろ向き撃ちだ!”なんて必殺技を使うキャラなど恐らく空前絶後でしょう。 そういった愛すべきヒーロー達が一人、また一人と倒れていくクライマックスは涙をおさえることができません。 そして過去と現在が舞台のこの作品、なんと言ってもすごいのがオープニングとエンディングが見事にリンクしている点です。 これはやはり連載開始時において、すでにエンディングが用意されていたと言うことなのでしょうか? あの名作W3(ワンダースリー)に比肩する見事な結末だと思います。 さらに地球の生物“犬”の先祖はなんとまあー! 手塚漫画の中では長らくマイナー扱いされている作品なんですが、まだ読んだことが無い人には断然お薦めです。 読み応えは保障いたします。