僕の大事なコレクション 特別版 [DVD]
価格: ¥3,980
俳優のリーブ・シュライバーによる初監督作だが、ツボを押さえた演出力を発揮し、余韻の残る佳作に仕上がっている。牛乳瓶の底のようなメガネをかけたイライジャ・ウッドが演じるジョナサンは、思い出に残る物をビニール袋に入れ、壁に貼るという奇妙な趣味を持つ青年。かつて祖父の命を救ったという女性を探しに、彼はウクライナへ向かうのだが、現地で迎える通訳の青年アレックスが、アメリカかぶれの、これまた変な男。微妙に通じない言葉やカルチャーギャップなどで苦笑させつつ、いつしか感動的なドラマへシフトする。その手さばきが鮮やかだ。
ウクライナの風景はチェコで撮影され、一面のヒマワリ畑や、独特のデザインの街並みなど、ハッとさせる映像が次々と登場。ロマの音楽とともにロードムービーとしての躍動感を高めていく。ジョナサンの人探しと、アレックスの祖父の記憶が一致し、さらにジョナサンの“コレクション”と同じような趣味がウクライナでも見つかった瞬間、映画のマジックを味わうことになるだろう。生きることの悲しさ、生きているからこそ人と出会うことのできる幸福。口には出せない、繊細で、熱い思い。そんな人生の機微が凝縮された、ジョナサンと、アレックスらウクライナの人々の出会いと別れは、ラスト5分、しみじみと心に訴えるものがある。(斉藤博昭)