読後にレポートを提出したくなるので、私も提出してみる。
恋とは、自分とは異質なものを区別することによってスタートすると思われる。
何が違うのか?何で違うのか?同じところはあるのか?
この知的好奇心と性欲が巧いことブレンドされ、隠し味に嘘が入れば完成。
隠し味は、あくまでも気が付かないように入れるべきものであるので
分量が難しい、というワケだ。
登場人物達は、この嘘が下手な人達ばかり。料理は才能が必要だと知っているのに、
どうして恋愛にもそれがあるのだと人間は気が付かないんだろうか?
ブレンド技術だけでも大変な才能が必要だろうと思うのに。
結論:あんまし考えると、恋愛は出来ない。
さて。貴方もこれを読んで、貴方なりのレポートを提出してみないか?
逆に、寝たり食ったり排泄したりする姿がたやすく想像できてしまうような登場人物(笑)こそが逆説的に美しく見えてくる作品です。
そんなわけで、非常に人間的で、親しみやすく、それなのに、いや、それですら、というか、それでこそ「美しい」作品になっていると思いました。
あと、教訓が多い話です(笑)。色々あるのですが個人的には「不幸になるのは才能だ」みたいな台詞がとても気に入ってます(笑)。
登場人物はみんな、ちょっと、(いわゆる)正常のわくからはずれています(お約束ですね。)でも、みんなにたような者でしょう。
むかしむかし、恋愛に振り回されて、
熱や狂気に振り回されていた瞬間を思い出しながら、
美しい世界に埋没して読みふけりました。
ページをめくるたび、どこかから、美しい音楽が聞こえてくるような、
そんな作品です。