由比正雪の話です
★★★★★
私は、小学生の時にこの本で、慶安の事件を覚えた。漫画が日本史に役立つとは思ってもいなかったので、不思議な気がした思い出がある。漫画が本当の話(史実)も取り扱うとは小学生の時は思っていなかったからである。本当の話は由比正雪が当時の幕府に不満をもつ浪人や諸藩を集めていわゆるクーデターを企てるが事前に発覚して打ち首になるという事実。漫画はこの打ち首になったさらし首を偽ものと見破った者がいたところから始まる。で、ここにもまた例の阿魔野邪鬼が登場して、話をややこしくする。伊賀の影丸のストーリーの展開は当時としては斬新だった。影丸組から選ばれた伊賀忍者○人、相手方(今回は由比正雪チーム)からも選ばれた忍者○人が夫々得意技(忍法)で対決するという展開で、結構ハラハラドキドキさせてくれた記憶がある。それと、横山光輝ワールドというか、当時では一般的である勧善懲悪でない世界が展開されていて、当時(小学生)では気がつかなかった世界を今読んで感じる。それは、どちらの世界にもそれぞれそれなりの理由があり、それぞれの人生があるということが描かれてある。だから、伊賀の影丸は苦労の末、戦いには勝つが、勝っても相手を尊ぶ雰囲気となんとも言えない無常感が漂っていて、なかなか含蓄のある作品となっている。是非一読をお薦めします。