ニッキ・パロットがデュオで挑んだ第4弾アルバム~ そのベース&ヴォーカルの魅力が満載の自信作 デビュー・アルバム『ムーン・リバー』から『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』~『ブラック・コーヒー』とコンスタントにアルバムをリリースしてきたニッキ・パロットが、ヴィーナス・レコード第4弾となる本作で挑んだのは、ベテラン・クラリネット奏者ケン・ペプロウスキーとのデュオ・アルバム。これまでの3作はカルテットかクインテット編成だったが、本作ではホーン奏者とのデュオという実に興味深い内容となっている。ケン・ペプロウスキーはサックスでも素晴らしいプレイを聴かせてくれるが、全14曲互いの個性を引き出し合いながらピッタリと息の合ったプレイを体感させてくれている。 名スタンダード「ブルー・ムーン」がオープニングを飾り、「エブリシング・アイ・ラブ」「ヘイ・ゼア」「あなたの顔に慣れてきた」「スリーピン・ビー」といったミュージカル・ナンバーに、「ヒア・ゼア・アンド・エブリホウェア」~アルバムのラストを飾る「フォー・ノー・ワン」というビートルズ・ナンバーも感動的。「ハウ・クッド・ユー・ドゥー・ア・シング・ライク・ザット・トゥ・ミー」ではベースとスキャットで見事なユニゾン・プレイも聴かせてくれる。ケン・ペプロウスキーの音色も絶妙で、素敵なバラード・アルバムとしてお薦め一枚。 (加瀬正之)