長年のファンなら、スナックをつまむように気軽に音楽の中へと入っていけるだろう――泣かせるバラード「Happy Days and Auld Lang Syne」、エネルギッシュでロックな曲「I'll Tag Along」、憂うつで物悲しい「First Breath」、いずれも魅力的だ。だが、さらに深く聴きこめば、華麗なジャズ・ポップ・バラード「I've Got No Right to Have It All」や義憤に満ちた「Outside of the Inside」の、より微妙な味わいも分かってくる。後者では、敬けんなイスラム教徒であるトンプソンが、モラルの欠如した狂信的な宗教家たちを攻撃している。
フェアポート・コンヴェンションのメンバーとしてデビューしてから35年。トンプソンのアイデアと意志は、まだ尽きていないことが証明された。自分自身と世界に対する彼の挑戦は、いまも続いているのだ。(Keith Moerer, Amazon.com)