『天使なんかじゃない 完全版』第4巻のあとがきをバンプのボーカル藤原基央というのには驚いた。第3巻は石田衣良だった。あとがきだけでも豪華である。誰でも高校時代に恋愛や友情や将来のことについて悩んだことはあるはずだ。『天ない』はその頃の記憶を呼び起こす作品である。まぁ、こんな綺麗な高校生活をおくった人は少ないと思うが・・・。現実的に考えると、作品に登場のような人物が自分の周りにいたら多分ウザイ。それは解っている。それでも、私はこの作品が結構好きだ。
高校時代だけが特別ではなく、小学校も中学校も大学も、それぞれの時間がそれぞれの人にとって特別である。ただ、高校時代というのは、周りが思っているほど子供ではなく、自分自身が思っているほど大人ではないという特殊な時期である。その特殊性を有しているからこそ、高校生活で学ぶ事は多いのだろう。人間という生物は、タキガワマンみたいに格好良くても、マミリンみたいに頭が良くても、いろいろ悩んだり迷ったりする。藤原基央が「仙人のようだ」と評した坂本将志のように、才能があり、精神的にゆとりがあるように見える人でも、やっぱり苦労している。それぞれがそれぞれの荷物を背負って生きている。人間は平等ではない。それだからこそ生きていくのは面白いし、生きることに価値があるのだ。そういう姿が描かれていた点が、この作品の価値を高めている。
まだ読んだことがない方(特に男性)は是非読んでいただきたい作品である。昔読んだことがある人も、もう一度読んでみてはいかがでしょうか?結構泣けますよ。