広岡先生やお手伝いさん、藤原先生、タブチ先生とその奥さんといったおなじみのキャラクターがワイワイと楽しませてくれます。
広岡先生を取り巻く4コママンガと、広岡先生の小説、それと書評マンガから構成されています。
個人的には書評マンガよりも、作家広岡センセの偏屈振りを描いた作品のほうが楽しめました。

いしいひさいち画伯の文芸モノを中心に、あの広岡達郎センセイの小説作品や、広岡家お手伝いさんのブックレビューなどイロイロ入った作品集。

ブックレビューのコーナーが面白かった。。。。ちゅうか、読む気にさせる名レビューの数々なのだね。

このレビュー、体裁としては文壇の大御所ヒロオカ先生のお手伝いさんが、ヒロオカ先生に送られたままうっちゃってある謹呈本を読んでレビューしているという体裁をとっている。不況不況と言いながら、数多出版される数々の本の中から、小説・ドキュメント・教養本を問わず非常にセンスの光る選定の上、短文簡潔明瞭なお手伝いさんのレビューが心地良いのだ。

もちろんオマケ（ｗ　に、レビューや紹介された書籍の内容とは概ね関係のない四コママンガがついている。いしいひさいち画伯の『マジカルミステリーツアー』を読んでいる人なら、あのテイストで理解いただけるであろう。

あ、あと、架空の作家広岡達郎の掌編が何作か、実際に小説の形式で収録されている。偽書・偽作を持ってキャラクター造詣や物語に深みを持たせる手法は数多あるが、四コママンガのキャラクターに書き下ろしの小説をあてがうというのは前代未聞。しかも、本当につまらなくて、ヒロオカ先生のキャラクターがすっごく掘り下げられているのが凄い。

『ののちゃん』で三大新聞連載漫画家の立場を獲得して久しいだけではなく、そもそも実験とか前衛とは全く無縁なままシャープな切れ味を発揮していたいしいひさいち氏のここに来ての実験作品集としても、一読の価値はあると思う。

例の広岡達三先生のシリーズです。こんな単行本にまでなって、先生の短編小説まで載って。それでいてやっていることは相変わらずです。
これがジブリから出るだなんて思ってもいませんでした。

『フン!』に続いて拗ねたキャラクターを中心に描き出す物語。私は、ポチも広岡先生も大好きなので、両作品楽しんで読みました。
広岡先生を中心として、出版業界について触れられています。毎回おなじみのメンバーが登場し、安心します(藤原先生の出番が少し少ないかもしれないと感じました)。あいも変わらず扱いがひどい広岡先生と田渕先生。なだめすかしてうまく使いこなす安田さんたち編集者。これはもはやいしい作品の王道なのかもしれませんね。
今回の目玉としては、『ほんの一冊』と同様に書評が付いています。ちなみに、お手伝い猫さんの手によります。あとは、おまけと言うと怒られてしまいますので、敢えてメインと言いますが、広岡先生の小説も掲載されています。ぜひとも、お楽しみに