50年代後半、バーンスタインの下で世界レベルのオーケストラに成長したニューヨークフィル。彼らの結びつきを証明するかのように、バーンスタイン作曲によるブロードウェイ作品を集めて演奏録音したのが本作である。ニューヨークの躍動が聴こえてくるような1枚だ。
   オーケストラの定番となっている「キャンディード」序曲のきらびやかな魅力。エリア・カザン監督の名作『波止場』で使われた、バーンスタイン唯一の映画音楽「波止場組曲」は、54年のアカデミー賞音楽賞にノミネートされた。惜しくも受賞は逃したが、マーロン・ブランド演じる不良少年が、正義に向かって立ち上がっていく力強さがみなぎり感動的だ。
   25歳で作曲した「ファンシー・フリー」は、「オン・ザ・タウン」や「ウェスト・サイド・ストーリー」の振り付けをも担当した、現代を代表するアメリカの舞踏家、ジェローム・ロビンスのために作曲された。ポピュラーで冒険的なバレエ音楽である。ニューヨークに降り立った3人の水兵に許されたのは、24時間…。ジャズ風な音楽が、古き良きニューヨークの雰囲気を盛り上げている。