買いです。
★★★★☆
「Kamipro」に掲載されたインタビューを集めた「プロレス狂の詩」の故中島らも氏の回で、「早すぎた高橋本」と紹介されているのを見て、買ったまま本棚の肥やしになり果てていた単行本を思い出し、引っ張り出してきて読んだのが数年前。先年の中島らも氏、今年三月のヒトさんの逝去を受けての文庫化でしょうか。単行本が手元になく、書店で本書を見つけ、これもなにかの縁と再度購入しました。先のインタビューでいみじくも前田日明が宣った「ヒトさんの話は面白いけど、話半分に聞いてないと」の言葉通り、本書でも対談相手の中島らも氏さえも「まゆつば」に聞いているらしいのがひしひしと伝わってくる、ミスター・ヒト氏の胡散臭さが全編に充ち満ちてますが、蓋し、その胡散臭さやいかがわしさはプロレスそのものが不可避的に有している、宿命的な要素であることは明らかです。また、章ごとに付された注釈は、本書を手にする人には自明のような項目が多いのですが、そこは注釈者吉田豪氏ならではのツボを押さえたものになっています。そこだけでも一読の価値ありと個人的には思います。