この1929年のロシアの無声映画『Man With a Movie Camera』のサントラは、気紛れなエレクトロニカ風ジャズファンクの興奮の渦にいるような雰囲気だ。1999年、ポルトガル映画祭の選定委員会はシネマティック・オーケストラのジェイソン・スウィンスコウに、ジガ・ヴェルトフの前衛的傑作の新しいスコアを作曲し、上映の際にライヴで演奏してほしいと依頼した。そしてその演奏がどうなったかというと、映画からまったくかけ離れた作品になることなく、素晴らしい内容になったのだ。音楽の効果を完全に楽しむなら、映画のDVDをチェックすることをおすすめする。音楽が実に効果的な場面で使われている。とはいえシネマティック・オーケストラのポストモダンなアシッドジャズ趣味が好きな人なら、このCDだけでも十分お買い得だ。たとえば「The Awakening of a Woman (Burnout)」は突飛な「Reel Life (Evolution II)」同様、退廃的なグルーブに乗ったトラック。過去の名作をこんなアイデアあふれる楽曲でよみがえらせるとは、シネマティック・オーケストラは名実ともに優雅で洗練されたバンドだ。(Matthew Cooke, Amazon.com)