超能力か野生の名残か
★★★★★
同性愛者の恋愛の機微をとても丁寧に描く作家さんなので、「同性愛を封印」的なアオリがありましたが購入。…期待以上でした。
「死者の声が聞こえる」主人公。でもそれって、そんなに不思議な事でしょうか?
猫が何もない空間を見詰めたり、犬が部屋の隅に向かって吠えたりするのを見る度に、人間が無くした感覚が存在するのでは?と思います。
実際、虫の知らせとかの経験ある人、多いじゃないですか。
ただ、「見えないものは存在しない」とされるこの世界において、その能力は異端であり、迫害の対象にもなります。
逆に珍しがられ、崇め奉られても、本人には苦痛でしかない。そんな苦悩が鋭く描かれています。
最近よく思うのが、同性愛者や犯罪被害者、被差別者などの物語を描く作家さんには、秀作が多いという事です。
マイノリティに共感できるという事自体が、感性の細やかさを表しているのではないでしょうか。
こんなにも女性対象のBL産業が発展したのは、女性が「どんな偏見や差別でも共に乗り越えたい恋人」や、
「独り善がりでなくお互いの協力なしには成立しないSEX」を希求しているからではないのか?と思います。
死者の声が聞けるなら、あなたは誰の声が聞きたいですか?どうか偏見を持たずに読んで下さい。
新田祐克初の非BL作品!
★★★☆☆
読むのが正直不安でした。
BL作家さんってBLだから楽しめる部分が多いので。
でも読んでみてそんな杞憂は一掃されました。
一言で言うと、特殊能力をもつ元警察官が殺人事件やら爆弾テロやらを解決する話です(笑)。
もちろんただそれだけの話ではなく、主人公の友人(この人も元警官)やその兄、主人公を
つけ狙う猟奇的思考の特殊能力者などが話に奥行きを与えています。
どこかテレビドラマ臭い感じがしましたがそれはドラマ化を希望する自分の気持ちだと解釈します。
とりあえず話の導入部分らしいので今後に期待します。
BLの新田祐克が大好きだ!という人は出てくるキャラクターで妄想するのもアリかと思われます。
素敵なキャラ揃いですよ。女の人少ないし。
(私は個人的にお兄ちゃん受)