元フィッシュマンズ、現在はリトル・テンポのメンバーとして活動するキーボーディスト、HAKASE-SUNの3枚目となるソロ・アルバム。これまでの2枚と同様、ほぼすべての音を彼ひとりで手がけたハンドメイドなレゲエ・インスト作品だ。打ち込みによるチープなリズム・トラックと、彼の代名詞といえるあたたかなハモンド・オルガンによって、どこか懐かしさの漂うハートウォームな作品に仕上がっている。
今回はロッド・スチュワートの「アイム・セクシー」を意外にもアップテンポでカバーしたり、哀愁の歌謡曲的メロディーの「TASOGARE」など、新境地も見せている。人柄が伝わってくるようなパーソナルな世界でありつつ、決してマニアックには陥らず、親しみやすい良質の佳作。(小山 守)