Chris Brown
価格: ¥814
まるで隣に住む16歳の少年そのものだ。ある時は身長174センチだったのに、いつのまにか185センチになっている。ある時にはバスケットボールをドリブルしようとしているキュートな幼い少年だったのに、いつのまにかスーパースターのポイント・ガードになっている。ある時はもう5分だけ寝かせてくれと上掛けの下に隠れていたのに、いつのまにかレコーディングにライヴにインタビューに1日中駆けまわっている。親しげな振る舞いと学生っぽい魅力、クリス・ブラウンはいかにも知り合いにいそうなアーティストだ。極上の声とクレバーな歌詞、耳に残る歌詞、一部の隙もないヴォーカルが散りばめられたデビュー・アルバムで、彼はすぐに世界中に知られる人になるだろう。クリスは一流プロデューサーたちの一派ではない。ニューヨーク・シティ、コンプトン、アトランティックといった有名なアーバン・ミュージックの中心地の出身でもない。人口2000人のバージニア州タッパハノック出身で、クリス・ブラウンは本物の才能、不屈の精神、カリスマ性が今でも音楽業界に存在する場所があることを証明している。クリスの16歳の声を聴けば、マイケル・ジャクソン、テビン・キャンベル、アッシャーと比較したくなるだろう。だが、もう少し長く聴けば、そうした比較は消散する。クリスには先輩たちの創作性に通じる部分があることは確かだが、彼自身の音楽のスタイル、フレーバー、居場所を持っていることがはっきりするからだ。デビュー・アルバムの『Young Love』は私たちをショッピング・モール、パーティ、ティーンの出歩く場所へと連れていってくれる。クリスはさまざまなテーマを扱っているのだ。クリスがどうしてもダンスフロアで踊りたいと思っている少女。他の男とつきあっている少女。彼がぞっこんまいっている少女。これは若い少年少女についてのアルバム――『Young Love』だ。選曲でクリスは自分とそして同じ世代の者にとって、何がホットで本物なのか自分自身の感覚に素直に従った。「このアルバムの曲を聴くと、何かを感じるんだ。自分がつながっていると感じられる。アーティストという枠から自分を取りだし、リスナーの1人になって自分で自分を批評した」クリスは早い時期から音楽に目覚めた。クリスに言わせると両親の「折衷主義」の趣味に影響を受け、お気に入りの音に浸ってきたという。マイケル・ジャクソン、サム・クック、スティーヴィー・ワンダー、ドニー・ハザウェイ、アニタ・ベイカー、アレサ・フランクリンだ。だが、たいていの若い少年と同じく、クリスはまもなくラップに興味を持ち、自分が地図にタッパハノックを最初に載せるMCになることを確信した。「俺はラップした」クリスは回想する。「11歳か12歳になるまで、どうして歌わなくちゃならないか、わからなかった。母親が家で歌う俺の大声を聞きつけて、こう言ったよ。"ちょっと、何をしているの? 本当に歌えているわ!"」その頃学校へ通い始め、女の子たちに歌を歌うようになった。 13歳になる頃には、自分の声がたんに魅力ある子どもの声に留まっていないことに気づいた。母親も同じことに気づき、さまざまなプロデューサーに息子を売りこもうとした。「レコーディングを始めると浮き沈みもあったけれど、とにかく楽しくてさ。一生やりたいと思った」クリスは今でも隣の男の子のようだ。だが、実は違う。今後の彼をお楽しみに。