手塚治虫の自画像
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ドンドラは手塚治虫が自身をカリカチュアしたキャラクターである。というかこの話そのものが手塚のカミングアウトと言ってもいいだろう。紅の豚が宮崎駿氏のカリカチュアした姿であるように。手塚氏も宮崎氏も妄想の範囲でのロリコンである。手塚に至っては妄想の範囲内で近親相姦願望もある様だ。別に両氏とも変態でもなんでもない。ごく普通の人物だ。さて、本作でのロリコンの部分は言うまでもなくチョコラである。一説によるとかの吾妻ひでお氏に対抗して手塚が作ったキャラクターらしいが、この上もなくかわいい。けなげで優しい。ものすごく気合の入ったキャラクターである。可愛さでは氏の少女キャラのトップと言っても過言では無い。たぶん手塚はキャラ以上に吾妻氏がロリコン妄想を全開にした作品を作っているのが羨ましくて仕方なかったのではないだろうか?
可愛くて純粋無垢(と男が勝手に思い込んでいる)処女の少女に慕われたいと思うのは変態でもなんでもないだろう。BJが手塚の一見クールで熱い一面(ピノコもいるし)であるようにドンもまた手塚の一面である。二人はまさに手塚の鏡像なのだ(BJにドンが自分の鏡像だと思い知らされる話がある)。
手塚がなぜ真のヒューマニストなのか。それは彼が決して品行方正、聖人君子ではなくダークサイドも含め、きわめて人間臭い自身の全てを勇気をもって作品に投影し、さらけ出している点にある。まさに彼が描いたものは「人間」そのものなのだ。
ドンドラこそは手塚の真の一面がのぞける氏の極めて重要な作品のひとつである。
面白さの中にも
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タイトルや表紙からすると、ホラーかと思ったんですが、どちらかというとコメディー要素が多く、年代問わず楽しめる作品。
そして手塚さんの作品ではよくあることですが、面白さの中にも社会に対する風刺が効いています。 代表作ではないでしょうが、ちょっと時間が空いた時に読んでみるといいかも
ブラック・ジャックのあとに…
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名作『ブラック・ジャック』のあとにチャンピオンにて連載された作品です。ブラック・ジャックはよく短編読みきり漫画のお手本と呼ばれますが、この作品も読みきり漫画の持ち味であるスピード感、手軽さ、面白さを十分に持っています。そして、起承転結のはっきりしたギャグ漫画なので仕事の合間の息抜きや、移動途中に読むのに最適です。文庫判は全2巻なので、ブラック・ジャック全17巻一気に買えないよ~という方は、まずはこの作品を購入してみるのはいかがでしょうか?
味のあるドタバタコメディー
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1979から少年チャンピオンに連載された、巨匠手塚治虫によるドラキュラ親子のドタバタ・ほのぼのコメディーまんが。なぜか現代東京に居を構える吸血鬼、ドン・ドラキュラとその一人娘チョコラの日常生活や事件を描いた1話20ページ前後の短編を12話収録で、ユーモアたっぷりの中に手塚流社会派メッセージも織り込まれ、十二分に楽しめること請け合いのおすすめ作品。ドラキュラだけの悩みや苦労、家族愛の描写などが悲しくも笑える。