~~
たとえば「ルート95」「駅馬車の通った町」あたりは、普通ならベスト13には入ってこないだろう。けれど、この乾いたハードボイルドな路線のゴルゴにこそ、作者の思い入れがあるわけだし、これらの愛すべき小品を密かに愛してきた人にとってはたまらない選択になっている。
~~
これ以外でも、「モスクワ人形」「ジェットストリーム」など、もっと注目されていい初期作品を選んでいるところも、思わずうれしくなってしまう。また、作者自身の解説からも、どういう作品を好み、また今後求めているかがわかっておもしろい。「Best Bank」がその意味からも選ばれているのが興味深い。
~~
あと思ったのが、リーダーズ・チョイスでも今回のベストでも、ナチス・ドイツものが、第1作以外では出てこなかった点。第1作もむしろMI6との駆け引きが中心だったし、ナチス物ではボルマンやヘスと対決する傑作がいくつかあるのだが、これも時代の流れなのだろうか。
~~
ともかくリーダーズ・チョイスとこのオーサーズ・チョイスは、ストーンズやディランのアルバムをどれから聴いたらいいかわからないのと同じくらい質量共に圧倒的なゴルゴの最初の1冊(2冊)として最良の選択となることは間違いない。~
人によって違いはあると思いますが、「死闘ダイヤ・カット・ダイヤ」、「2万5千年の荒野」、「すべて人民のもの」、「マークのリクエスト」等、やっぱりなという作品が並んでいます。
著者である、さいとうたかをさんのインタビューをはじめコラム等も充実しています。
唯一の難点は、重くて持ち運びに不便といった点ですが、それを補ってあまりえる内容だと思います。
ゴルゴ好きの方は買って損のない1冊です。