士郎正宗は、この作品で人類は理想郷を作り出せるのか?、作り出せたとしても理想郷を維持する人間を継続的に生み出せるのか?、真の理想郷とは何か?、という思考実験をしたかったのだと感じる。理想郷を作り出そうとしているのは、この物語の舞台となる人工都市オリュンポスの、理性と感情のバランスのとれた作られた人類=バイオロイド達と総合管理局を構成するコンピューターだ。オリュンポスの「総合管理局」は、コードウェイナー・スミスの人類補完機構のように、来るべき次の世界大戦の後の世界を管理している。