傑作になり損ねてしまった、やや残念な印象の編ですね
★★★☆☆
2004年から年一回のペースで、2〜3ヶ月の短期集中連載という形で発表されている「金田一少年」シリーズの最新作『雪霊伝説殺人事件』の解答編です。
密室内にいきなり現れ、そして消えた死体の謎と、犯人が持つ「鉄壁のアリバイ」の謎を解き明かす事が大きな焦点となる訳ですが、はっきり言って「死体移動」の方は机上の空論にすら至っていない程無理のあるトリックとなっています。
この作品が少年マンガ誌に掲載されているエンターテイメント色の強い作品で、厳格なリアリティや理論武装が求められる類の作品では無い事は重々承知していますが、「本格ミステリー」を名乗る以上、もう少ししっかりしたトリックが必要だと思いますね。
一方の「アリバイトリック」の方は、成立させる前提条件が厳しいものの、「金田一」らしいけれんみあふれる派手なトリックになっており結構楽しめました。
ラストの絞め方も綺麗にまとまっているだけに、「死体移動トリック」が低レベルだったのが余計に悔やまれますね。そこさえまともなら「金田一シリーズ」の傑作に挙げられそうな内容だけに残念です。まぁお約束のお色気シーンが皆無ではなかったのは救いと言えましょうか(笑)。
今巻巻末にははじめに恋するアイドル歌手・速水玲香が登場する短編『速水玲香と招かれざる客』が収録されています。彼女は下巻のカバーに登場しており、どんな形で『雪霊伝説』に絡んでくるのかと期待していたのですが、実はこういった形での登場なワケですね。まぁコメディタッチの短編とは言え、久々に彼女をメインに据えたストーリーが読めるというのは、昔からのファンには嬉しい所です。
ちなみに、ストーリー展開が『金田一シリーズ』では珍しいパターンなのですが、同じ制作者による『探偵学園Q』の方では何度か使用されていたパターンになっています。故に双方読んでいるファンには「どこかで見た展開」となってしまうのがやや残念ですね。
緊張感が無い
★★★☆☆
ここ最近の金田一は推理しているときの緊張感などが全く無くなってしまったように思います。推理しているときだけでなく、事件が起きている最中もそうです。
以前は殺人が起きた合間合間に、金田一の憤り、犯人の心情、事件に関わっている人の切迫感などがあって、
そういう部分が事件に深みを増していたのですが、白表紙になってからそれが顕著に見られなくなってしまったように思います。
金田一の推理も、以前のような絶対犯人を暴いてやるという気迫は無く、なんだか冷めてます(途中で変な顔するし)。
私はトリック云々よりも金田一の正義感溢れる部分が好きだったので、それが無くなったのが非常に残念でなりませんでした。
上巻のレビューの続き
★★★☆☆
では、上巻のレビューからの続きを・・・(読んでない方は上巻の
方も読んでいただければ)
悪い点の二つめはトリックです。今回の主なトリックは「密室殺人」
と「死体消失」なのですが、個人的にどうも納得できない。細かいこ
とは書けませんが、「気づくべきだろ!!最初に」と思えてしかたが
ありませんでした。普段はトリックに不満を持たないんですが、今回
のはなんとなくしっくりきませんでした。
三つめは、回収しきれていない部分がちらほらとあることですね、詳し
くはここに記しませんが。
さて、下巻には表紙からもわかるように、久々に速水玲香ちゃんが登場
します。作品名は「速水玲香と招かれざる客」金田一少年でお馴染みの
コメディタッチの倒叙ものとなています。雪霊伝説と合わせてお楽しみ
頂けるかと・・・。
あと一つ、下巻の帯には「金田一が推理を外した?驚愕の逆転劇が始まる」
と記されていますが、推理を外したというより先走った意見を言ってしま
ったぐらいのことですね、後これといって逆転したようにも思えないので
すが・・・・・
解決編
★★★★☆
雪霊シリーズの解決編。
作者もカバーに書いていた通りの内容で、悲しい結末に。
解決編なので金田一が言ってる言葉などを考えて、誰が犯人なのかな?と楽しく見れました。
ただ1人だけ雪霊の話と一致する名前が普通にいたので、関係を少し予測できてしまったことが残念です。(いつもの金田一もそうなのかもしれませんが)
ちなみに番外編として(オリジナルなのかマガジンに載ってたやつなのか?)
速水玲香のイベントに現れた招かざる客の短編も載っています。
これは展開が早く面白いです。
犯人が常にビビりまくりっていうのはある意味斬新かも。