Wolfmother
価格: ¥983
ロックの概念は永遠に新境地を開いた。ロックそのものと、ロックの批評家たちがへそを凝視してきた憎むべき10年にも渡る伝説も再考案されるに違いない。本作はオーストラリアの若いパワー・トリオ、ウルフマザーがはしゃいで転げ回り、感情を露わにしたデビュー作だ。シューゲイザーのオルタナティヴ・ロック苦悩の10年は、ものおじしない、ブルースをベースにしたスタジアム・ロックのうしろめたい喜びへ回帰し、新世代の大反響も予想外のことではない。たとえ新生代が、シングル「Woman(邦題「不貞な女」)」での初期ツェッペリンの叫びと泥沼の熱狂、あるいはホワイト・ストライプスの飾りをそぎ落とした気質を採用した「Apple Tree」などに同調できるかどうか、自信がないようでも。ウルフマザーは70年代の叙情的な主題の懸念(「White Unicorn」、「 Where Eagles Have Been」、「Tales」)と、ブラック・サバスのようないつもの懸念(「Dimension」)とを勇敢にミックスし、ネオ・プログレッシヴの「Colossal」、「Witchcraft」、「Tales」でかき回し (「Tales」はジュスロ・タルのようなフルートのブレイクで仕上げられている)、「Mind's Eye」などで、サウンドガーデンとクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジに乾杯する。ぎょっとすることにファンクにチャレンジした「Love Train」は、すぐさま挫折に終わり、リスナーは慰めにイーグルス・オブ・デス・メタルのヒットを聴きたくてたまらなくなる。だが、そんな残骸も、時に酔いしれた過去の焼き直しを"新しい"と捏造しようとしている中で、ウルフマザーがいかに幅を広げようと努力しているかの証明に他ならない。