今や「陰陽師」で安倍晴明ブームを巻き起こした少女マンガ家（あえて）岡野玲子氏の１９８６年の作品。
　家が禅寺で将来はボーサンの運命をしょったアマチュアロックバンドのボーカルの主人公とちょーおしゃれで人生にも男にもシリアスな女子大生（のちにＯＬ）のラブストーリーを柱に８０年代最先端のファッションや音楽シーンなどが楽しめます。
　画力は当時からマンガ描きの間でも評判の腕前でしたし、ギャグもたっぷり。おしゃれな女の子のキタネー部屋、歯医者のぼんぼんの勘違いデートの描写など今も変わらぬ若いもんの内面も笑えます。
　晴明様でファンになった方、絶対読んでね！当時の同世代からのお願いです。

　これは「青春もの」と呼ばれる一群のまんがのなかでも傑作なのだけれども、それに加えて80年代東京のヤングたちの風俗を描いた作品でもある。ときはディスコブームで、ロックバンドブームなどもあって、みんな東京に憧れていて、バブリーな世の中でもあった。そんな東京で自分のファッションや趣味やポリシーに自信とこだわりを（異常に）持っている若者たちの日々がギャグ満載で描かれる。これほど当時の東京を描いた作品は小説にも例がないのではないだろうか。そして、主人公たちのアツイ日々は今の私たちにはむしろ新鮮で、豊かな青春物語を提示してくれる。