Coming Out
価格: ¥636
オリンピア・クロフォード・ルビンスタインは多忙な弁護士。気品とユーモアを兼ね備え、生き生きとした彼女は、安定した結婚と満ち足りた家庭を築き上げていた。ハイスクール卒業を控えた双子の娘、ダートマス大学に通う息子、2度目の結婚でもうけた園児がいると、オリンピアが太刀打ちできない困難はないかに思われた。だが、それも5月のある晴れた日が訪れるまでの話だった。オリンピアは1通の招待状を受けとった。ニューヨークで開かれるごく一部の上流階級だけを対象にした社交界デビューの舞踏会に、双子の娘たちを招待するものだ。ここからオリンピアの周囲では次々と頭痛の種が増えていく。双子の1人が反発する。もう1人は反対に出席を熱望する。スノッブな前夫とは反対に、現在の夫は出席に断固反対している。
現在の夫であるハリー――両親はホロコーストを生き延びた――にとって、貴族的なデビュタントの舞踏会に出席するなど、忌むべきことだった。娘のベロニカは根っからの反抗精神の持ち主で夫の意見に賛成。一方、双子の片割れであるヴァージニアは舞踏会にふさわしいドレスを購入しようとしている。前夫は鼻持ちならないスノッブで、この舞踏会を家庭内の不和を引き起こすにはもってこいの機会だと考えている。この大騒ぎの中で、大学に通う息子のチャーリーは人生の分岐路にさしかかり、今こそ母親を必要としている。だがこれだけの懸念事項があるにもかかわらず、オリンピアは何とか家族をうまく導いていく決意をする。そして舞踏会の数日前になって、目のくらむようなスピードで事態は急展開を迎える。
息子の危機から娘の失恋まで、そして水ぼうそうから政治論争まで、次々と難題が持ち上がり、オリンピアは今にも負けてしまいそうな崖っぷちに追いやられる。そんなときに、一連の驚くような行動と心境の変化によって、家族、友人、青い髪のティーンでさえも手を貸す格好になり、苦難の夜を魔法のような夕べに変える方法が見つかる。昔の傷が癒え、障壁が崩れ、新しい伝統が誕生し、社交界デビューの舞踏会は変化、啓示、容認、愛をもたらしてくれる。
深遠で痛烈、感動的で暖かいユーモアが交互に訪れるこの作品で、ダニエル・スティールは再生する家族の話を秀でた筆致で描く。過去を水に流し、前進し、成長し、そして高らかに声をあげる新しい方法を見つけて…その過程こそが最も大切だと教えてくれている。