両さんの街には味がある。
★★★★★
パラパラ漫画のように扉絵だけ見ていてもおもしろいし、楽しめる。
ハッと思った絵の解説を読んでみると、そこには自分が溶込んでいけるかのような錯覚さえ覚える。
東京の下町には住んだ事がない者にも東京の下町に郷愁を感じてしまうのはなぜか・・・
思慕の念にかられる両さんの後ろ姿がなんとなくまぶしい。
元ネタの巻を買いたくなった
★★★★★
下町を舞台にした「こち亀」の裏話を語った取材ノートのような一冊。
派出所が舞台のギャグ漫画というイメージが強い「こち亀」だが、千住、隅田川、神田などなど、かなり広範囲に取材していた事に今更ながら驚いた。
扉絵の風景に引き込まれ、思わず載っている単行本を買いたくなった。
土地勘がないと読むのは大変です
★★★☆☆
こち亀の作者が、自分の子供時代の思い出をもとに下町の情景、風情について記述しています。
葛飾区から墨田区、上野、浅草、神田あたりについて筆者の思い出話や漫画の中でどのように描いたかについて書かれています。
但し、土地勘がないと読むのにつらい部分があります。土地勘のないかたは地図を片手に読むといいのではないかと思います。
今も消え去りつつある世界
★★★★☆
サザエさんと同じように、”こち亀”は戦後の日本人が決して飽きることのない不思議な世界です。毎週繰り返される事件は、たわいもない平凡なものがほとんどです。しかしながら、これだけ連載が続いているということは、時代を超えて、読者たちの根強い支持を受けてきたわけです。ここに描かれている世界は、原作スタート当時から、日々消え去っている下町という存在です。結果としては、もう存在しない歴史的な風景の原像とその後の変化が、漫画の重要な背景をなしているわけです。また決して年をとることのない主人公たちも、さまざま脇役を含めて、私たちがもう決して出会うこともない歴史的な存在なわけです。さまざまな郷愁を誘うこの作品ですが、この作品のベースとなった著者の下町への愛情がすべてのページで感じられます。私にとっては、取り上げられている地域はどれもあまりなじみのない地域ですが、著者の具体的な思い出がどの地域をも身近に感じさせてくれます。
風俗が文化になった珍しい下町ガイド
★★★★★
ギャグ漫画の「こち亀」の主人公がいつの間にか下町の案内人になってしまったというのは驚きであるが、30年も連載が続くと風俗も文化になるという珍しくも貴重な例だと思う。漫画制作の舞台裏の話も興味をそそり、是非とも続編を期待する。
作者の当初の意図を超えて、両さんは私たち下町の住人に愛されているお巡りさんになり、最適の下町文化伝承者である。次の休日にはこの本を片手に自転車で回ってみよう。