読後は好きな人の隣で眠りたい・
★★★★★
以前、麻々原さんのアクションのあるマンガを読んだときには、
構図が上手くて、きれいな絵だけど、スピード感を表現するのは
苦手なのかな〜という印象でした。
それから数年後、そう!これだよこれ!こういう感じの
マンガが読みたかったんです!麻々原さん!!
原作の雰囲気を壊さないどころか、すごく気持ちよくお互いを
高め合っています。
とにかく表情・立ち居振る舞いの表現が抜群に上手い。
原作だけ読んだときには、とくに誰にも感情移入することなく
ステキな小説だと感じていました。
でもこれを読んでから、茅島氏がどういう人なのかより深く教えて頂きました。
イギリス旅行中
折り目正しくスッと背筋を伸ばしてソファに掛けた茅島氏が、
紅茶を差し出す庭師を見上げるとき、読む人を何とも切ない気持ちにさせます。
そして片膝をついてかしこまり、茅島氏にやさしく語りかける名もなき庭師
(きゃー)
読書中は1人で浸っていたいけれども、読後は好きな人の隣で眠りたい・・・
そんな気持ちにさせる作品です。
歓喜する五月
★★★★★
原作を何度も読んでいても楽しめます。原作を読んでいるからこそ、という部分もありますが。
密かに茅島氏の魅力の大きな要素に「庭園」があると思っていたので特に今回はうっとり。
漫画化にあたっては「庭園は風景にしかすぎない」とザックリ切られかねない恐れのある「庭園」が英国旅行、清里の折衷庭園と共により詳しく描き込まれることによって「茅島氏〜」の世界に。
その風景のなかでこそ捉えどころのない茅島氏の戸惑いや不安や苛立ちに歓びといった体温の変化を感じることができます。
漫画化は原作に必ずしも忠実であるべきだとは思いませんが原作の魅力を違ったかたちで表現することは大前提だなと実感。
装丁の美しさ
★★★★★
書影を見たときから、なんてきれいな本なんだろうと思った。第一巻も素敵だったが、さらに洗練された趣きがある。カバーデザインは名和田耕平デザイン事務所。HPで他の本のデザインを見ることができるが本によって全く雰囲気が違う。この本は特に印象的だ。それは遠野さんのストーリーと、麻々原さんの絵と、カバーデザインが絶妙のバランスで調和しているからかもしれない。コミックスの装丁でここまで作り込むことができるんだと驚いた。さて、実際本を手にとって見ると、カバーに帯が付いている。帯の配色は合っているが、手の部分が隠れてしまって、そうするとイラストの美しさがやや減じてしまう。ああ、もったいない。手の部分がとても大事なのに。続刊はどんな表紙だろうか。そして、夏の花火と冬の庭をこの絵で見ることができると思うととても楽しみだ。
正直、脱帽モノです。すばらしい。
★★★★★
数多ある原作付き漫画の中でもこれほどまでに完成度の高いものがあるでしょうか。
原作の持つノーブルな雰囲気や美しさが、麻々原氏の持つクールな視点と筆致によって最大限引き出されていると思います。
特に麻々原氏のややもすると無機質になりがちな美しさが逆に、要所要所に現れる茅島氏カップルのささやかな幸福を夢のように美しく貴重なものとして引き立てているように思います。(読んでて思わずニンマリ)
このタッグを実現した方に拍手を送りたい!!それくらい私はお気に入りコミックになりました。
それにこのシリーズは麻々原氏にとっても代表作になるのではないでしょうか?
今回のコミックは前回コミックで約束していたイギリス旅行や冬至令嬢とのエピソードが中心です。
小説(小泉氏インタビュー?)や書き下ろし漫画(「まいにち、しあわせ」)もあり楽しめます。
未読の方は前作とあわせてぜひ。
無垢な淫らさ
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浮世離れした富豪青年×その寡黙な庭師、第二作め。
前回も思ったのですが、実に上手く原作小説を漫画化されている。端折る部分は端折り、原作の雰囲気を壊さずストーリーは忠実に、しかしくどくない。
あまりにもお金持ちすぎて、生活様式はもちろん、その思考や行動が一見突拍子もない茅島氏。けれどその世俗を超越した無垢さ、それゆえの淫らさ。麻々原さんのシャープで上品な絵柄が非常にマッチしていて、作品世界に入り込んでしまう。
もちろん、寡黙で男性的な魅力あふれる庭師の『彼』も素敵。茅島氏に愛されていることに高を括って、ベッドでは好き勝手にふるまっているように見えるが、その実、逆……(笑)
原作を読んで面白く、その上この漫画化作品を読んでもまた更に楽しめる。
美味しいなぁー。3巻が待ち遠しい。