the Offensive and Reductive
★☆☆☆☆
これは一言でいえば駄本であり、Post-Feminism時代に入っても相変わらず1960年代的勘違いスローガンを書き散らした時代遅れも甚だしい本書が他ならぬ1990年代に出たことには情けなさだけではなく怒りさえも覚えずにはいられません。こういう駄作を真顔で読めば読むほど女性が男性を悪く言うのと同時かつ同程度に男性が女性を悪く言うという不毛な悪循環から抜け出せなくなるという事実は1970年代後半に男女双方が痛みと共に理解したことだとばかり思っていたのですが、実際にはそうとは言い切れないらしいのです。例えば著者は本書に「女性は心の中に『男性ではない』という一種の怒りを互いに宿しています。男性ならば、社会的地位と権力を持てるからです」(p.144)などというナンセンスな戯言を書いていますが、こういう勘違い描写こそが「男性差別(実際には男性の99.9%は地位も権力も持っていないにも拘らず例外的存在の0.1%が全体像であるかのように言うのは差別以外の何物でもありません)」のみならず「女性差別(男性に生まれてきたら幸せになれたと言うのは差別以外の何物でもありません)」までもを助長してきたのです。