講演会を聴きに来る人々に応じて、その内容が簡単になったり難しくなったりする。言葉遣いも変わる。特に印象に残ったのは巻頭の「無明と世界友好」大拙は、ここで仏教の教えの彼なりの解釈を述べている。我々の住んでいるところは無明の所産。あらゆる二元論は今や人の心を捕らえている二元論に於いては一面が光を浴びると他の一面は陰になる。そのために人間の心の自由は失われている。本来は、人間の意識には分別以前の無分別がある。それを自覚し本来の自己・自らの主人公になるものは稀である。
仏教は修行によってそれを可能にする。仏教は生のあるがままを受け入れる。二元性も悪も苦難も全てを受け入れる。なぜなら、そこから逃れるすべはないからである。二元性の底にあるものを直感せよということだ。これを空と呼ぶ。
といった内容です。