サイプレス・ヒルの15分間の名声が、大麻に焚きつけられた約10年前に期限切れになったという事実は気にしなくていい。というのも本作は、漫画じみた変わりだねのグループとしてもっぱら片づけられてきたメンバーたちによる充実したアルバムだからだ。 この南部中央出身のグループは、個性的なサウンドに願ってもない整備を加えている。B・リアルはトレードマークである甲高い鼻声を和らげ、DJマグスの若返ったサウンドを引き立てるこれまでになく計算されたフロウのなかに滑り込ませている。そして、この過小評価されてきたプロデューサーは、サイプレス・ヒルを優等生たちのお気に入りにさせたラップ・メタルのスタイルを賢明にも避けている。代わってこの7作目のスタジオ・アルバムに注入されているのは、不穏なヒップホップ・ビートと、甘いラテン・ビート、純粋なレゲエを組みあわせたサウンドだ。
本作はまた、すばらしいゲストが参加したことでさらに味わいを増している。なかでも目を引くのがプエルトリコ生まれのレゲトンの達人テゴ・カルデロン。アルケミストがプロデュースした「Latin Thugs」をスペイン語のヒップホップの名曲に生まれ変わらせている。こうしてこれまでのサウンドを改善しているにもかかわらず、マリファナへの愛と突飛なユーモアのセンスは相変わらずで、ビースティ・ボーイズにインスパイアされた「Busted in the Hood」といったトラックの中で存分に表現されている。(Rebecca Levine, Amazon.com)