Decemberunderground
価格: ¥946
「『DECEMBERUNDERGROUND』は時と場所だ。暗く隔離された場所で冷えた心が肩を寄せあえる場所。冬のように地下世界で隠遁し、愛を見捨て孤独に絶望する者たちのコミュニティ」――デイヴィー・ハヴォック『DECEMBERUNDERGROUND』はAFIの7枚目のアルバム・タイトルでもある。アルバムの歌詞とビジュアル・イメージの大部分のように、このバンドの世界的に有名な別名、内なる炎(A Fire Inside=AFI)という名前とはくっきりと対照を成しているように思える。だが、炎はやはり赤々と高温で燃えている――ただ、長く燃えていないだけだ。「このアルバムではディテイルにかなり注目した」ジェイドは振り返る。「曲作りにかなりの時間をかけたよ。焦るなと自分たちに言いきかせた。それぞれの曲だけじゃなく、それぞれのギター・パート、それぞれのボーカル、それぞれのベース・ラインにまで時間をかけた。慌ててスタジオに走る真似はしなかった」こうした努力の成果はデイヴィー・ハヴォックが「偏見の目で見るどんなジャンルにおいても、俺たちはブレイクできる」と自信をもつアルバムに実っている。ざっと聞いただけでも、ここに収録された曲の豊かさと多様性は冒頭からデイヴィーの言葉を裏づけている。「Prelude 12/21」はリズムとヴォーカルを中心にしたカーブ球で、『Black Sails』以来のAFIのすべてのアルバムにおいて、両手を広げて要求されてきた球とは大違いだ。そこから『DECEMBERUNDERGROUND』はAFI初のストレートでクラシックなグラム・スタイルのシャッフル「Miss Murder」へと進路を変え(ファンクラブのザ・デスペア・フラクションがバックでおこなう合唱が効いている)、荒涼とした印象的な音景の「Love Like Winter」と雄大な組曲「The Interview」へ突入する。AFIの長年のファンも心配する必要はない。『DECEMBERUNDERGROUND』は「Kill Caustic」、「Affliction」のスラッシュ&バーンから、バラッドのフィナーレ「Endlessly, She Said」まで、おなじみのAFIらしさも思いきり取り入れているからだ。この新譜に対するAFIのファンの反応について、デイヴィーはこう語る。「一歩踏みだすごとに、俺たちのファンはついてきてくれる。きっと俺たちの音楽に誠意があることを気づいてくれてるからだ。俺たちにはそうやって自己表現することしかできない。自分たちの気に入る音楽を作ることしか。ほかの方法じゃ無理だ。そうやって試行錯誤しながらここまで続けてきた」「変化や、変化に対するファンの反応を怖れるアーティストもいるね」ジェイドは語る。「俺たちとファンとの関係で大切な部分は、アルバムを出すごとに俺たちは敢えて変化してきたこと。だからファンにとって変化は予想がつくものだし、許容できることなのさ」