とは言え、「このニューアルバムで新たなレベルに突入するんだ」と2パックがつぶやく5秒間のイントロをはじめ、不完全な部分もまったくないわけではない。また、残された2パックのヴォーカルを切り貼りするというアイディアもこれまでどおりで、未発表曲4曲のうち2曲(「Ghost」「One Day at a Time」)はエミネムによって大幅につくり変えられ、残りの2曲ではノトーリアス・B.I.G.(「Runnin'」)や、今をときめくサグ・ラッパーの50セント(「The Realest Killaz」)とデュエットしている。
けれども、このコンピレーション盤が死後の一連のアルバムと異なるのは、2パックの成長過程におけるさまざまな時期から選曲されていることだ。デジタル・アンダーグラウンドばりのファンクを注入したサウンド(「Same Song」)を引っ下げた思春期の頃から、複雑なパーカッションを組みこんだサウンド(「Starin' Through My Rear View」の時期まで取り上げられているのだ。それに、2パックの母親アフェニがエグゼクティヴ・プロデューサーを務めていて制作意欲も申し分ない。最近の2パック作品にいまだ懐疑的なファンも手に取るべきアルバムだ。(Dalton Higgins, Amazon.com)