鉄道に興味がある入門者向け
★★★☆☆
過去何度か時刻表を読みながら旅をしたことがある自分にとっては、”時刻表を読みこなす”という意味では、特別目新しい記述はなかった。もちろん知らなかったこともいくつもあったと思うが、何か特別視界が開けたとか、そういうことはあまりなかった。その一方で旅のプランが紹介されていたりと興味深い箇所もあったが、いずれも秘境駅を見たり電車に乗ることそのものを目的とした、いわゆる鉄道ファン向けのプランであるので、やはり鉄道ファンでない人にはいまいちマッチしない内容かもしれない(自分も電車に乗るのは好きだけど、特別鉄道ファンではないので、日本一周特急早回りの旅プラン以外は、そこまで興味は沸かなかった)。説明自体は分かりやすく、時刻表を全く読めない人にはありがたい本だと思うが、それには少し値段が高い気がするし、逆に鉄道ファンには物足りない内容な気がする。どのような読者を想定しているのかがいまいちはっきりしない。鉄道に興味がある入門者向けか。
JR時刻表を手元に用意して
★★★★★
筆者は数年前まで時刻表がJTB版とJR版があることすら知らなかった。というよりもそんなに意識して見ていなかったといったほうが正しい。
鉄マニアは当然知っているとおもうが、時刻表には「貨物時刻表」なるものも存在し、一般書店では入手できず(一部書店では取り扱いあり)、鉄道貨物協会
http://www.rfa.or.jp/index.html へ直接申し込むのだという。
本書は約三分の一が時刻表の見方の解説になっていて、筆者のような初心者には新しい発見の連続だ。三分の二は実践編として、実際に現地での使い方や「机上旅行」を楽しめるような構成になっている。
本書を読む際はJR時刻表を傍らに置いておくといいだろう。著者はJTB版でもいいと言っているが、主体が空想でもJR電車に乗る事なのでサブ情報としては得るものも多いだろう。
本書を読みながら実際の時刻表が資料として抜き取られてはいるが、必ずしも見開きページの左右でそれを説明しているわけではないので、ページを戻したり送ったりして読むのは結構面倒だった。
著者は「秘境駅」を探訪するというジャンルを確立した、命名者でもある。
筆者の地元である飯田線の紹介があるが、実はこの飯田線の秘境駅、その定義にそぐわず車でアクセスできてしまうのだ。考えてみたら駅だから当然なのだが、それは本書にも明記されていないのでご自身でお確かめください。