設定が絶妙
★★★★★
正直、こんなに引き込まれて読んだアダルトノベルは初めてでした。
ヒロインは、娘たちを貴族の姫隷(専用奴隷)として調教する調教師リセーラ。もう一人のヒロインは姫隷になるべく彼女のもとに来た少女テルテ。このふたりの対比が実にすばらしく、作品のバランスを作り上げています。
二人とも明るいとはいえない過去を持ち、リセーラはそれを隠して強くあろうとしつつも過去をぬぐいされずにおり、テルテもまた過去にとらわれながら、ひたむきに、懸命に前を向いて生きようとします。二人はお互いに影響を受け、性的な主従関係というより同じ年頃の少女たちの友情のように触れ合っていくのが、お互いを思いやりながら嫌な相手に体をささげていく後半部へいいスパイスとしてつながっていくのです。
二人とも、激しい責めに体を籠絡されながら、心だけは屈しない。それがまた、読んでいてぞくぞくとさせます。
完結なのかな……もったいないです。ぜひ続けてほしい一冊です。
これは傑作
★★★★★
中世っぽい世界を舞台にした調教モノ。
強さと弱さを兼ね備えたヒロイン、リセーラが実にイイ!
奴隷にして調教師という二面性を見事に一人のキャラクターのうちに結晶させている。弱さゆえにその強さが際立ち、汚濁のうちにあってなお埋め尽くされることのない誇りの輝きがまぶしい。
サブヒロインといえるテルテは、逆に弱さのうちに強さを秘めたキャラで、これがまた互いに引き立てあってるんだな。
そして脇キャラでしかないはずの♂キャラ、ユグベルジュがまたいいんだ。
要するにキャラの設計と配置が絶妙なのよ。
さらにプレイの趣向や小道具のアイデアなども秀逸で、実用度もとても高い。
また、文体もこの手の話としては装飾的なスタイルで高品位。それがゴスっぽい雰囲気によくマッチしている。
もう、おもっくそプッシュしちゃってるんだが、実は一つだけ不満がある。
それはボリューム不足。
一巻で終わらすには惜しいよ、このキャラ達とこの世界観。もっともっとやれることあるじゃない。はしょってるとこもあるじゃない。でも、キレイに終わらせちゃってるから続きはもう書けないんだよね。ホーントもったいないよ。少なくともこの倍はやれるネタなのになァ。
とはいえ、それは物足りないほどデキがいいってことで、もっと欲しいと思わせられるだけの力が本書に備わってるってことでもあるワケなので、文句なく★五つ。買って損ナシ。
濃厚で耽美
★★★★☆
エロ小説とは思えない漢字の多さ!
ヴィクトリア調の衣服を書き連ねる作者の筆致も、見事です。
そして肝心の描写も、濃厚でどこか冷徹、非情にて耽美…という雰囲気。
前半と後半はメインの少女が違うのですが、どちらもいい味だしてます。
陵辱の責めのアイデアもなかなか。
頭で想像する力がいるかな〜と思いますが、それがまたいいな〜と思います。
最後がちゃんとハッピーエンドになっているのがいいですね〜。