ミネアポリスを拠点に活動するアイディア＆アビリティーズにとって2作目となるこのフルアルバムは、デビュー作『First Born』――優れた点はあるものの、不完全で確信に欠けていた――をはるかに上回る完成度だ。前作でのアイディアは、複雑で難解でがむしゃらになることにあまりに消極的で、頼りなく思えた。だが、この2作目では前作と同じ知的レベルを保ちながら、アイディアがラップ界での地位に今やこれまでになく満足していているように聞こえる。その結果、アビリティーズの生みだすビートときらめくようなカッティングに、これまで以上にしっかりとフロウを織り交ぜまとめ上げている。

 「Kept」「Star Destroyer」「Reintroducing」（ランD.M.C.の1988年のトラック「Beats to the Rhyme」における革命的なテクニックの絶好のお手本）といったトラックでは、デビュー作にもっぱら欠けていた何かを補っている――積極的にスウィングしているのだ。歌詞、ライム、アイデアをばらばらに崩して無数のパートへと散りばめる代わりに、こうした要素をラップによるスウィングの純粋なきらめきに溶け合わせている。傑作ではないが、将来性を十二分に予感させる1枚。（Charles Mudede, Amazon.com）