Forgotten Arm
価格: ¥1,314
前作よりずっとはっきりした熟年の憂鬱が特徴となった、エイミー・マン『The Forgotten Arm』は表現に成功したストーリー性のあるアルバムで、カップルたちの人生での関係を追っている。昔からのファンにも、新しいファンにも楽しめる要素が盛りだくさん。マンはボクサーと恋人の愛憎の絡んだ関係からちょっとした風景を切り取っている。まるで農産物フェアにおけるセピア色のスナップショットのように。実際は、蒸し暑いフェアの駐車場で撮った1枚で、そこにはロマンスが花開き、“キャデラックのバックシートで眠る彼女が、ミラーに写っている”場所だ。シンコペーションの効いたブルージーなメロディー、ミュージシャンたちの力強いアンサンブルが磨き抜いた成果となり、マンの鋭い視線から逃れられるものも少ない。中毒の魅惑的な苦痛、試合による記憶喪失、最後に必然的に生じる子どもをもつ、もたないについての話し合い。マンの作品の大部分が藍色のムードだとしたら、『The Forgotten Arm』は薄紫色に近いかもしれない。味付けされたユーモアと予想できる出来事が「That's How I Knew This Story Would Break My Heart」や「She Really Wants You」といったナンバーに込められている。手元に置きたい1枚。(Megan Halverson, Amazon.com)