このグラスゴー出身のグループは、レディオヘッドと同じ苦悩する魂を呼び起こしているが、『OK Computer』を不穏で難解なアルバムにしているジョージ・オーウェルにインスパイアされたトーンはどこにもない。トラヴィスのシンガーのフラン・ヒーリーは、熱狂を抑えながらも怒りをこめたトム・ヨーク流のスタイルで、神経をとがらせたり心を高揚させたりさせている。
音楽面でも、心が舞い上がらんばかりの瞬間がある。繰り返されるすてきなリズムと軽快なボーカルによる「Driftwood」では、ジェームズの歌と同じくらい浮かれ騒ぎ、シタール調の「The Last Laugh of the Laughter」は、あまりに甘く悲しく、センチメンタルな気分よりも美しさが上回っている。「Why Does It Always Rain on Me」は偉大な名曲の高なるサウンドをもとに作られている(実際、何気ない皮肉がトラビィスにぴったりな「Raindrops Keep Fallin' on My Head」と同じダウンビートで進む)。
本作は、この英国のロックバンドの出世作であり、絶対のおすすめ盤だ。(Beth Massa, Amazon.com)